『情報コミュニケーション学』のオムニバス授業(2)

私がコーディネーターを務める『情報コミュニケーション学』の授業は、“多様な視点からアメリカ社会、文化について理解を深める”ことを目的としています。今年度は7人のゲストの方に授業にお越しいただく予定です。先日、二人目のゲスト講師、川島浩平先生にお越しいただきました。ここで簡単に授業の内容をご紹介したいと思います。

第2回ゲスト講師、川島浩平先生(早稲田大学スポーツ科学学術院教授)
テーマ「スポーツを通して見るアメリカ社会」2019年6月19日

川島先生は、授業の冒頭で、「クリッカー」を使って学生の既存知識調査を行い、学生の反応を見ながら授業を進める方法についてご説明されました。先生の授業では、アメリカの授業方式を参考に、「100分の授業を一気に進めると居眠りをするか注意力が落ちる。その結果授業が分からなくなる人が増える。それを回避するため、細かく授業を分けて、学生と対話をして受け身から能動型に学生を誘導する。それによって授業効率を高める」という方法を取り入れていらっしゃるそうです。

最初の質問は、「出身はどちらですか」から始まりました。次に、「この授業『スポーツを通して見るアメリカ社会』にどのくらい関心がありますか」と学生に質問をされました。回答者の6割以上が「とても関心がある」か「関心がある」と答えていて、コーディネーターとして安心しました。既存知識調査1では「アメリカでもっとも人気があると思うスポーツを挙げなさい」と「野球、アメフト、バスケ、サッカー」と選択肢を与えて学生に答えるようにさせていらっしゃいました。

授業で、クリッカーを使う方法を見るのは、私にとっては今回が初めてでした。一人一人に口頭で答えてもらうと時間がかかりますし、手を挙げて発言してもらうとだいたい前の方に座っている学生が発言することになりますが、この方法では全員がアンケートに答えるように答えるので、より多くの学生の反応が素早くわかって面白かったです。こういう授業方法もあるのか、と参考になりました。

講義の内容としては、アメリカの三大スポーツ「野球、アメフト、バスケ」のうち、競技人口で見ると、「1位がバスケ、2位が野球、3位がアメフト」であると指摘されました。そして、ロバート・W・ピーターソンの「バスケは国民の競技(ナショナル・ゲーム)」であるという言葉を引用され、アメリカではバスケットボールについて知ると、スポーツ史を習熟することになる、とお話になりました。

続いて、「ジェームズ・ネイスミスとバスケットボールの発明」という点を中心に講義されました。ネイスミスは「Father of Basketball」と言われる人物で、1891年にバスケを発明したそうです。冬に雪が多く、外でのスポーツができないスプリングフィールドで、ネイスミスが屋内で学生が安全に楽しめるスポーツを考案した-それがバスケだった、というご説明です。

また、アメリカ社会にバスケが普及した背景として、先生は「スポーツがある国のスポーツ空間に入る場合、1870年から1930年という時代が鍵となる」という「タイミングの重要性」について指摘されました。そして、アメリカ社会の変化とバスケの普及の要因について次のように説明されました。「1920年代、革新主義の時代にアメリカでは移民が急増し、エスニックコミュニティの形成が進んだ。労働者も増加した。経済が発展し、激動の時代であった。そこにバスケはエスニシティのスポーツとして発展し、ボトムアップから普及していった。バスケは特定のエスニシティグループと結びついて発展した。また、安全面から女性のスポーツとしてもバスケは普及。冬のスポーツだから、当時メジャーだったアメフトなどとぶつからない。」

川島先生の講義では、バスケの発明から普及プロセスを丁寧にご説明いただき、今もアメリカではなぜバスケの人気が高いのか、という点をアメリカ社会の変化の視点から理解することができました。

余談ですが、私が2014年~2016年に在外研究中、ワシントンD.C.で知り合ったアメリカ人の友人たちは、スポーツバーに、カレッジバスケットボールの試合をテレビ中継で見ることに何度か誘ってくれました。友達は大学を卒業して何十年も経っている世代の人たちでしたが、それぞれの母校のチームを熱心に応援していたのが印象に残っています。スポーツバーに入っていくと、店内は試合のテレビ中継を見ながら応援している人たちであふれていました。先生の講義を伺いながら、その光景をつい昨日のことのように思い出しました。

川島先生、お忙しい中、授業にお越しいただきどうもありがとうございました。

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